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農薬化学肥料不使用のお米作り
1996年12月に新規就農して以来、一切農薬と化学肥料を使わずにお米と野菜を作り続けています。約1反5畝の田んぼ一枚から始まった「使わない」という選択肢は今も変わらずに、現在約5町歩の田んぼすべてで無農薬無化学肥料で栽培しています。
初めから簡単に農薬や化学肥料を使わずにお米が作れたわけではありません。もちろん今でも転換期間中(慣行農法の田んぼを借りて3年間)は苦労が多いです。除草剤を使わずに作り始めるとヒエ、ホタルイ、コナギ、クログワイなどの草が一気に出始め、油断していると収穫皆無の状態になってしまうことすらあります。
アイガモ農法にも取り組みましたが、田んぼに放したばかりのアイガモのヒナを鷹やカラス、イタチなどの天敵が一夜にして連れ去ってしまうことも多くあり、悔しい悲しい思いも沢山しています。
田んぼは一枚一枚条件が違います。
広い田んぼ、狭い田んぼ、四角の田んぼ、三角の田んぼ、粘土質の田んぼ、赤土の田んぼ、山沿いの田んぼ、原の田んぼ、水が冷たい田んぼ、温かい田んぼ、生き物たちが沢山いる田んぼ、あまりいない田んぼ、地力がある田んぼ、ない田んぼなどなど。
現在ではそれぞれの田んぼの条件に合った除草方法(田車やチェーン除草、米ぬか除草など)や肥料(米ぬかや鶏糞、有機質肥料など)を使い分けてやっています。
田んぼをいかに平に作るかとか、代かきは丁寧に行うとか、草の多い田んぼは出来るだけ早く水を溜めて、生き物たちを増やすかなどなど。
一概にこうしたほうが良い、ああした方がいいとは言えず、なかなか難しいです。ただ一つ確実に言えることは、田んぼの生態系を豊かにする作り方をすれば、稲が育ちやすい環境になってくるということです。その場その場の判断で、天気に左右されながらも、上手くいかないことの方が多いですが、20年以上農薬と化学肥料を使わずにお米を作っていて、その田んぼは目に見えない生き物たちが賑やかな田んぼです。
生き物たちで賑やかな田んぼをどんどん増やしていきたいと思っています。
いいお米って何?
慣行の米作りでは除草剤や殺虫剤、殺菌剤などの農薬は使うのが当たり前で、使わないと米が作れないと思っているのではないかと思うほど、当たり前のように農薬が使われています。化学肥料に関しては、安くてよく効く肥料であれば何でもいいという感じを受けます。
いいお米を作るという目的はどの生産者さんも同じだと思います。お米の価値が下がってしまい、どんなにいいお米(慣行農法)を作ったとしても、1俵60㎏が1万円前後の米価では、生産コストが高すぎて、作るだけ赤字になりかねない。ましてやカメムシの被害が出て等級が下がったり、雑草が繁茂して収量が減ってしまったり、効きの悪い肥料を使って生育が悪かったりでは、作る気力も失せてしまうというものです。
そうならないように農薬や化学肥料を使い、生産を安定させています。
田植えが終わると除草剤を使う時期になります。その土地土地で時期は違いますが、その時期がやってくると大量の化学的な薬品が当たり前のように田んぼんにまかれます。また穂が着き始めることになると、カメムシ防除の空中散布もあります。
これらを日本全体で考えるとものすごい量の農薬が撒かれていることになると思います。
そろそろいいお米の考え方を変えてもいい時期だと思います。
いかに環境に負荷のないお米を作るか。化学的なものをいかに少なくするか。
このままの慣行農法が果たして持続可能な米作りの在り方なのか考える時だと思います。
いいお米とは、そこにある環境や生態系に責任を持てる作り方をしたお米だと考えます。
南房総三芳地区のお米は例年3月中旬ごろに籾播きを行い、同時進行で水止め代かきなどの田仕事が始まり、4月中旬から田植えが始まります。田んぼに水が張られるのを待っていましたと言わんばかりに、いろいろな生き物たちが田んぼに集まってきます。田の草取りで田んぼに入るとよくわかります。そして7月中旬になると出穂(しゅっすい:穂が出ること)が始まり、8月上旬には穂が出揃います。早場米の産地でもある南房総の稲刈りは8月中旬から始まります。そして9月中旬ごろには多くの田んぼで稲刈りが終わります。
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